実数

第9講 複素数

複素数 我々は既に「実数」(実数体 $\mathbf{R}$ )というものを知っているので, さらに「複素数」なるものを定義したい. そこで, $i^2=-1$ を満たす $i$ を虚数単位と呼び,実数 $x,\ y$ によって
$x+yi$
と表されるものを複素数と呼ぶ...ということで済ませたいところだが,今のところ実数しか知らない建前の我々としては 「$i^2=-1$ を満たす $i$ 」と唐突に言われても,それは何者なのか,どこにそんなものが存在するのか,と困惑する(振りをする)しかない. ここでは飽くまでも建前を守って,次のような定義を採用しよう:
複素数体 $\mathbf{C}$ とは 二つの実数の組 $(x,y)$ からなる集合であって,次の演算が定義されているものをいう:
  • 和:$(x,y)+(x',y')=(x+x',y+y')$
  • 差:$(x,y)-(x',y')=(x-x',y-y')$
  • 積:$(x,y)(x',y')=(xx'-yy',xy'+x'y)$
  • 商:$\dfrac{(x,y)}{(x',y')}=\Big(\dfrac{xx'+yy'}{{x'}^2+{y'}^2},\dfrac{-xy'+x'y}{{x'}^2+{y'}^2}\Big)$
$\mathbf{C}$ の各元を複素数と呼ぶ.$(x,y)$ を複素数とするとき,$x$ をその実部,$y$ をその虚部と呼び,それぞれ $\mathrm{Re}(x,y)=x$,$\mathrm{Im}(x,y)=y$ と表す.
虚部が $0$ である複素数 $(x,0)$ を実数 $x$ と同一視することにより,実数も複素数とみなす(つまり $\mathbf{R}\subset\mathbf{C}$ ). 虚部が $0$ でない複素数を虚数と呼び,実部が $0$ である虚数を純虚数と呼ぶ.
$(x,y)=(x,0)+(0,y)$ に注意して,$(x,0)$ のことを単に $x$ と書き,$(0,y)$ のことを $yi$ と書くことすると,複素数 $(x,y)$ はおなじみの
$x+yi$
という式で表される.
複素共役と絶対値 複素数 $z=x+yi$ の複素共役
$\overline{z}\stackrel{\mathrm{def}}{=}x-yi$
絶対値
$|z|\stackrel{\mathrm{def}}{=}\sqrt{x^2+y^2}$
により定義する.
$\overline{\overline{z}}=z$,$|-z|=|z|$,$\big|\overline{z}\big|=|z|$,$|z|^2=z\,\overline{z}$
などに注意.
複素平面 複素数は二つの実数の組であるから,自然に平面上の点として表すことができる. すなわち,複素数 $z=x+yi$ の実部 $x$ を実軸(横軸)に,虚部 $y$ を虚軸(縦軸)に目盛ることで,複素平面(座標平面) 上の点として表すのである.
この場合,複素共役 $\overline{z}$ は $z$ と実軸に関して対称な位置にあり,絶対値 $|z|$ は原点 $0$ からの距離を表している.
補充問題