実数

第8講 実関数

実関数 $D$ を $\mathbf{R}$ の空でない部分集合とするとき,$D$ の各元 $x$ に対して実数 $f(x)$ を対応させる規則 $f$ のことを実関数と呼び
$\begin{array}{ll}f:&D\to\mathbf{R}\\&x\mapsto \mbox{($x$ の式)}\end{array}$
あるいは
$f:\ D\to\mathbf{R},\quad f(x)=\mbox{($x$ の式)}$
のように表す.このとき,集合 $D$ を $f$ の定義域,集合 $f(D)\stackrel{\mathrm{def}}{=}\{\,f(x)\,|\,x\in D\,\}$ を $f$ の値域と呼ぶ.値域がある集合 $T$ に含まれていることが明らかな場合は
$\begin{array}{ll}f:&D\to T\\&x\mapsto \mbox{($x$ の式)}\end{array}$
などと書いてもよい.
区間 $\mathbf{R}$ の区間とは,以下のいずれかの形で表される集合のことをいう($a,b$ は $a < b$ なる実数である):
関数の極限 実関数 $f$ の定義域を $D$ とし,実数 $a$ は $D$ の集積点,すなわち
$\forall\delta > 0,\ \exists x\in D,\ 0 < |x-a| < \delta$
を満たすものとする.
$D$ の点 $x$ が $a$ に近づくとき $f(x)$ がある実数 $b$ に近づくならば,$f(x)$ は $b$ に収束するといい,$\displaystyle \lim_{x\to a}f(x)=b$ と表す.すなわち,$\displaystyle \lim_{x\to a}f(x)=b$ とは
$\forall\varepsilon > 0,\ \exists\delta > 0,$$\ \forall x\in D\,[\,0 < |x-a|<\delta\ \Rightarrow\ |f(x)-b| < \varepsilon\,]$
が成り立つことをいう.このとき,$b$ を $x\to a$ における $f$ の極限値という.
また,$x$ が $a$ より大きい(小さい)値をとりながら $a$ に近づくことを $x\downarrow a$ ($x\uparrow a$) と表す. すなわち,$\displaystyle \lim_{x\,\downarrow\,a}f(x)=b\ (\in\mathbf{R})$ とは
$\forall\varepsilon > 0,\ \exists\delta > 0,$$\ \forall x\in D\,[\,0 < x-a < \delta\ \Rightarrow\ |f(x)-b| < \varepsilon\,]$
$\displaystyle \lim_{x\,\uparrow\,a}f(x)=b\ (\in\mathbf{R})$ とは
$\forall\varepsilon > 0,\ \exists\delta > 0,$$\ \forall x\in D\,[\,-\delta < x-a < 0\ \Rightarrow\ |f(x)-b| < \varepsilon\,]$
が成り立つことをいい,このときの $b$ はそれぞれ右極限値左極限値と呼ばれる.
さらに
$\displaystyle \lim_{x\to a}f(x)=\infty$, $\displaystyle \lim_{x\to a}f(x)=-\infty$, $\displaystyle \lim_{x\to \infty}f(x)=b$, $\displaystyle \lim_{x\to -\infty}f(x)=b$
などの定義も同様である 詳しく!
関数の連続性 実関数 $f$ がその定義域 $D$ の点 $a$ において連続であるとは
$\forall\varepsilon > 0,\ \exists\delta > 0,\ \forall x\in D\,[\,|x-a|<\delta\ \Rightarrow\ |f(x)-f(a)| < \varepsilon\,]$
が成り立つことをいう.$a$ が $D$ の集積点である場合は,このことは
$\displaystyle \lim_{x\to a}f(x)=f(a)$
が成り立つことと同値である. 定義域のすべての点で連続である関数を連続関数という.
実関数 $f$ がその定義域に含まれる集合 $A$ のすべての点で連続であるとき,$f$ は $A$ において連続,$A$ 上連続などという.有界閉区間において連続な実関数の重要な性質を挙げておく:
  • (中間値の定理) 実関数 $f(x)$ が有界閉区間 $[a,b]$ において連続であって,かつ $f(a)\neq f(b)$ ならば,$f$ は開区間 $(a,b)$ において $f(a)$ と $f(b)$ の間のすべての値をとる.
  • (一様連続性) 実関数 $f(x)$ が有界閉区間 $[a,b]$ において連続ならば一様連続である.すなわち
    $\forall\varepsilon > 0,\ \exists\delta > 0,\ \forall x,x'\in[a,b],\ |x-x'| < \delta\ \Rightarrow\ |f(x)-f(x')| < \varepsilon$
    が成り立つ.
  • (最大値最小値の定理) 実関数 $f(x)$ が有界閉区間 $[a,b]$ において連続ならば $f$ は $[a,b]$ において最大値と最小値をもつ.
合成関数 この節では,関数 $f$ の定義域を $D(f)$,値域を $R(f)$ と表すことにする. また,関数 $f$ の定義域を $D'$ $(\subset D(f))$ に制限して得られる関数を $f\,\Big|_{D'}$ と表す.
関数 $f$,$g$ が $R(f)\subset D(g)$ を満たすとき,これらの合成関数 $g\circ f$ を
$\begin{array}{ll}g\circ f:&D(f)\to R(g)\\&x\mapsto g(f(x))\end{array}$
により定義する.$R(f)\not\subset D(g)$ であっても $R(f)\cap D(g)\neq\emptyset$ であれば,$f$ の定義域を適当に制限することにより合成関数を考えることができる.
二つの連続関数の合成関数が(定義可能ならば)やはり連続関数であることは容易に確かめられる(補充問題7).
逆関数 関数 $f$ が単射であるとは
$\forall x,x'\in D(f)\,[\,x\neq x\ \Rightarrow\ f(x)\neq f(x')\,]$
が成り立つことをいう 単射 $f$ に対して,その逆関数 $f^{-1}$ を
$\begin{array}{ll}f^{-1}:&R(f)\to D(f)\\&f(x)\mapsto x\end{array}$
により定義することができる.
区間を定義域とする実連続関数の逆関数は(定義可能ならば)やはり連続関数である.しかし定義域が区間でない場合は必ずしもそうではない (補充問題9,10).
補充問題